弁護士費用の詳細
はじめに
弁護士に支払う費用(以下「弁護士費用」といいます)について、みなさんはどれくらいご存知ですか? 弁護士に相談をしたり、仕事を依頼したりするのは、初めてという方も多いので、ご存じない方が少なくないと思います。そのため、弁護士に支払う料金や支払い方法について、疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。そこで、これから当事務所の弁護士費用についてわかりやすく説明します。
弁護士費用とは?
弁護士費用は、その性質によって以下の二つに大きく分けられます。
- 弁護士報酬
- 実費
弁護士報酬
弁護士報酬とは、弁護士がその専門知識や経験に基づいて提供した法的なサービスに対する対価です。簡単にいうと、弁護士に依頼した仕事に対して支払うお金のことです。弁護士費用の中核は、この弁護士報酬になります。
実費
それに対して、実費とは、弁護士に依頼せずにご自身で対応した場合でもかかる事務処理に必要な費用のことです。例えば、裁判所で裁判を起こした場合、一定の手数料を収入印紙などで支払う必要があります。この手数料の支払いは、弁護士が裁判を起こした場合でも、依頼者本人が弁護士に依頼せずに裁判を起こして場合のどちらでも同じです。
弁護士の仕事の多くは、依頼者の代わりにさまざまな手続きをすることです。そのため、この実費についても弁護士費用としてお支払いいただくことになります。
弁護士報酬の種類
弁護士費用の中核である弁護士報酬の種類について、説明します。
弁護士報酬は、これもその性質によって以下の二つに分けられます。
- 定額の報酬(固定)
- 時間制の報酬(変動)
定額の報酬
弁護士報酬には、その金額が定額のもの、または金額の計算法方法が一定のものがあります。
定額の報酬は、お仕事の依頼を受ける際に、金額または金額の計算方法をお知らせします。そのため、依頼をする段階で、弁護士報酬のおおよその金額がわかります。
定額の報酬のうち、ご依頼の内容について、以下の5種類に分けられます。
- 着手金
- 報酬金
- 手数料
- 日当
- 顧問料
時間制の報酬
弁護士報酬には、定額ではなく、時間制のものもあります。時間制の報酬は1時間あたりの何円と定められているものです。
時間制の報酬は、お仕事の依頼が短期間で完了したら支払う総額は少なくなる一方、長期間に渡る場合は高額になります。そのため、お仕事の依頼を受ける際には、総額がいくらになるかが不明です。ただし、最大でいくらという制限を設けていますので、その額を超えることはありませんのでご安心ください。
時間制の報酬は、以下の二種類です。
- 法律相談
- タイムチャージ
法律相談料
法律相談料は、その名のとおり法律相談をした場合の料金です。金額は、次の表のとおりです。
法律相談料は、原則として30分 5,500円(税込)となります。事務所での面談、Zoomなどによるオンライン相談ともに法律相談料は同じです。
法律相談料金は30分あたりの料金となります。60分の場合は×2、90分の場合は×3となります。
営業時間外の法律相談は次のように割増料金となります。
平日 | 土日祝日 | |
---|---|---|
午前9時~午後5時 | 30分 5,500円 | 30分 15,000円 |
午後5時~午後7時 | 30分 11,000円 | 30分 22,000円 |
当事務所では、従来、平日午前9時から午後5時までの営業時間内でのみ法律相談の予約を受け付けておりました。これは、弁護士である私自身の家族との時間を大切にし、十分な休養を取ることで業務の質と効率を維持するためです。
しかしながら、障害者の親であり、また障害分野に特化した弁護士として私は多くの方々からご相談をいただいております。ただ、他の弁護士では対応が難しいケースも多く、そのような方々のご相談を断ることは心苦しく感じておりました。
そこで、より多くの方々のニーズに応えるため、営業時間外での相談も受け付けることにいたしました。ただし、仕事の都合などを調整して営業時間内にご相談いただける方と、営業時間外での相談を希望される方とで同一料金とすることは、公平性の観点から適切ではないと考えました。
これらの状況を踏まえ、営業時間外の法律相談に対して割増料金を設定することといたしました。これにより、より多くの方々に専門的なサポートを提供しつつ、弁護士としての私の働き方にも配慮した体制を整えることができると考えております。皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
損害保険などの特約である「弁護士費用特約」を利用した法律相談の場合は、通常料金の2倍になります。例えば、平日昼間の法律相談料金は、30分11,000円となります。
着手金と報酬金
着手金
着手金とは、第三者とのトラブル・紛争について、弁護士が依頼者の代わりに代理人として問題解決に着手する際にお支払いいただく費用です。
着手金は、次の報酬金と一体となります。
着手金は、トラブル・紛争解決に着手してから、なんらかの形で決着がつくまでの費用となります。決着の具体例には、次のようなことが挙げられます。
- 判決・決定・審判などの裁判所の判断が下される
- 相手方との示談・和解が成立する
着手金の金額がどのように決まるかを説明します。着手金の金額(税別)は、次の表のとおりとなります。
経済的利益の金額 | 着手金の額 |
---|---|
300万円未満 | 経済的利益の金額の8% |
300万円以上3,000万円未満 | 経済的利益の金額の5% + 9万円 |
3,000万円以上3億円未満 | 経済的利益の金額の2%+69万円 |
経済的利益については、後ほど説明します。
中途解約
着手金についてしっかり理解してもらいたいことがあります。それは、トラブル・紛争が依頼者の望みどおりの形で決着しなかったとしても、なんらかの形で決着している限り、着手金はお返ししません。例えば、望んだ金額よりも少ない金額になったというの典型例です。
もちろん、なんらかの決着がつく前に、諦めるなどして、依頼が終了した場合には、依頼の進行状況によって、着手金をお返しすることもあります。
最低着手金
なお、当事務所では、着手金が20万円(税別)未満での依頼は、お受けしていません。ですので、着手金額は、20万円(税別)からとご理解ください。
報酬金
着手金とセットとなる報酬金とは、第三者とのトラブル・紛争について、なんらかの決着がついた際に、依頼者の望んだ結果(弁護士の代理人活動の成果)の度合いによって決まる費用です。
完全に依頼者の望みどおりの結果にならなくて、一部でも望みがかなった場合もその程度に応じてお支払いいただきます。例えば、100万円の支払いを相手方に求める事件の場合に、50万円の支払いしか得られなかったとしても報酬金の支払いが必要です。
もっとも、まったく望みどおりの結果にならなかった場合には支払いません。先ほどの例でいうと1円も得られなかった場合には報酬金はゼロとなります。
報酬金の計算方法は、次の表のとおりです。
経済的利益の金額 | 着手金の額 |
---|---|
300万円未満 | 経済的利益の金額の16% |
300万円以上3,000万円未満 | 経済的利益の金額の10% + 18万円 |
3,000万円以上3億円未満 | 経済的利益の金額の4%+138万円 |
経済的利益とは?
着手金と報酬金の計算において、「経済的利益」の理解が不可欠なので、この言葉の意味を説明します。
経済的利益とは、弁護士に依頼する事件が解決した時に、依頼者が得られた、または得られるであろう経済的な利益のことです。
例えば、貸したお金500万円を返してもらうことを弁護士に依頼した場合、その経済的利益の金額は500万円となります。
経済的利益は、依頼者の財産が増える場合だけではなく、依頼者の財産が減るのを免れた場合も経済的利益があると考えます。例えば、200万円の慰謝料を請求されていたところ、弁護士に依頼することで50万円の支払いで済んだ場合には、支払いを免れた150万円が経済的利益となります。
手数料
手数料とは、契約書などの法的文書の作成、相続人調査などの法律調査などのように、トラブル・紛争になっていないケースにおける、事務処理に対する費用です。
手数料を支払う場合としては遺言書や信託契約書などの作成、遺言執行、成年後見の申立て、障害福祉サービス事業の指定申請、法人の設立などがあります。
手数料は、定額です。ただし、事務処理の難易度によって、金額に幅はあります。例えば、定型的または簡易な遺言書の作成であれば20万円で、財産や相続人が多かったり、分け方が複雑な場合には事務作業量が増えるので、料金も増えます。
具体的な金額については、提供するサービスのページに記載されていますので、そちらをご覧ください。
出張日当
出張日当は、依頼された事件や法律事務において、当事務所から遠方なところに出張する場合に一回ごとにかかる費用です。埼玉県内や都内23区への移動では出張日当は発生しません。
最近は、電話会議やweb会議が普及しているなので、事務所から遠方の裁判所に行くことはだいぶ減りました。
出張日当の金額は、次の表のとおりです。
移動時間 | 出張日当の金額 |
---|---|
片道2時間以上4時間未満 | 3万円 |
片道4時間以上 | 5万円 |
顧問料
企業や個人と顧問契約を締結し、その契約に基づいて継続的に行う一定の法律事務に対して支払われるものです。
法律顧問とは、弁護士が継続的に、顧問先からの法律相談や簡易な法律事務(例えば、契約書・内部規定・通知書などのチェック、各種会議・ミーティングへの同行・出席など)を行うことです。
法律顧問契約は、社会福祉法人、NPO法人、医療法人、株式会社などの法人と結ぶことが多いです。ただし、企業、団体医大の個人事業主、議員、一般個人も歓迎しています。
法律顧問料は月5万円です。
法律顧問料は、毎月払いと1年分一括払いがお選びいただけます。
タイムチャージ
タイムチャージは、時間制報酬とも呼び、1時間あたりの金額を設定して、毎月、弁護士が依頼を受けた事件にかけた活動または作業の合計時間についてお支払いいただく費用です。
当事務所では、1時間あたり1万円から3万円(税抜)となります。
タイムチャージとなる依頼は、次のような場合です。
- 当事者や争点が多数で、トラブル・紛争の解決にかかる時間が予測しにくい場合
- 経済的利益が少ないけれど弁護士費用特約付きの損害保険を利用できる場合
タイムチャージでは、月初めに前月の活動時間・作業時間を集計してお知らせしますので、前月のタイムチャージ金額をお支払いいただきます。
実費
実費は文字どおり事件処理のため実際に出費されるものです
例えば、次の費用です。
- 裁判所に支払う収入印紙や切手代
- 交通費
- 郵便料金
- 各種支払手数料
- 戸籍謄本・住民票の写しなどの発行手数料
- FAX送信料
実費は必要になると予想される分を契約を結ぶ際にお預かりしています。その預かり金の中から、必要になったときに使わせていただきます。
預かり実費が足りなくなった場合には、追加していただきます。
依頼終了時に精算して、余った場合にはお返しします。
お支払いについて
支払回数
弁護士費用一括払いが原則です。当事務所の請求書に記載されている金額を一括でお支払いいただいています。
分割
もっとも、着手金と手数料については、分割払いにも対応しています。分割払いをご希望の場合は、契約を結ぶ前にご相談ください。
ただし、分割払いの回数は最大6回までです。
また、分割で全額支払いがなされるまで、弁護士としての活動には着手はしませんので、その点もご注意ください。
支払手段
現金払い、銀行振込のみ
弁護士費用の支払いについて、以下のものは現金払いか、銀行振込みのみ対応しています。
- 着手金
- 報酬金
- 手数料
- 実費
- 出張日当
- タイムチャージ
- 法律顧問料(1年間一括払い)
キャッシュレス決済対応
それに対して、以下のものは現金払い、銀行振込みのほかに、クレジットカード決済、QRコード・バーコード決済でのお支払いが可能です。
- 法律相談料
- 法律顧問料(月払い)
支払時期
弁護士費用の支払い時期については、前払いのものと後払いのものがあります。
前払い
以下の弁護士費用は前払いとなります。
- 着手金(契約時)
- 手数料(契約時)
- 出張日当(出張前日まで)
- 実費(契約時)
着手金、手数料、実費は契約時にお支払いいただきます。他方、出張日当は出張の前日までにお支払いいただきます。
後払い
以下の弁護士費用は後払いとなります。
- 法律相談料
- 報酬金
- 法律顧問料
- タイムチャージ
法律顧問料は毎月後払いの方法と、1年間一括前払いのどちらをいただいても結構です。
よくある質問
- 事件がうまくいかなかったら、着手金は返ってくるの?
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事件の成功、不成功では着手金をお返しすることはできません。事件が望むような解決にならない場合には、報酬金の金額に反映されます。
- 「成功報酬」とは何ですか?
-
当事務所では成功報酬制の弁護士報酬を提供していません。成功報酬とは、一般的に着手金がゼロで報酬金のみの報酬設定のことです。当事務所では着手金がゼロでお仕事を引き受けることはありません。
- 相談だけなら無料?相談するだけで料金が発生しますか?無料相談はありますか?
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当事務所では、有料の法律相談しかありません。無料の法律相談がご希望の場合は、無料法律相談を実施している他の法律事務所、法テラス、市区町村の無料法律相談をご利用ください。
- 弁護士費用は分割で払える?
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着手金と手数料については、最大6回の分割払いにも対応可能です。
- 費用が払えなかったら、弁護士に依頼できないの?
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当事務所では、前払いが基本となります。そのため、弁護士費用が支払えない場合には、仕事の依頼をお断りしています。
- 料金の詳細は初めに教えてもらえるのですか?
-
お仕事の依頼を受ける際には、契約書に署名(電子署名を含む)をしてもらっています。契約書に署名していただく前に、具体的な弁護士費用の金額を説明します。弁護士費用にご納得いただけたら、ご署名ください。
- 弁護士費用は途中で追加されることはありますか?
-
当初の想定の範囲を超えて、事件・事務処理が難航したり長引いたりした場合には、追加の弁護士費用をいただくこともあります。その際には弁護士費用を請求する前に説明します。
- 弁護士費用を安く抑える方法はありますか?
-
当事務所の弁護士費用を安く抑える方法は特にありません。当事務所よりも安い費用で仕事を引き受けてくれる法律事務所や弁護士をお探しください。
- 法テラスを利用できますか?
-
当事務所の弁護士は、法テラス(日本司法支援センター)と契約しておりません。そのため、法テラスを利用することはできません。
- 弁護士費用は勝訴した場合と敗訴した場合で変わりますか?
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弁護士費用の中の「報酬金」は勝訴と敗訴では金額が異なります。その他の弁護士報酬については、裁判の勝訴と敗訴では金額に変更はありません。
- 弁護士費用の見積もりは無料でしてもらえますか?
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はい、弁護士費用の見積もりは無料でお伝えします。ご希望の方は見積もり希望とお伝えください。
- 弁護士を途中で変更したい場合、費用はどうなりますか?
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着手金と手数料、実費については、弁護士の事件・事務処理の程度に応じて、お支払いいただいた費用の一部をお返しすることがあります。法律相談料、出張日当、タイムチャージ、顧問料については、その性質上お返ししません。なお、途中で弁護士を変更する場合、事件が未解決であるのが通常ですので、報酬金は発生しないことがほとんどです。
- 弁護士への依頼を途中で解約する場合、解約料・違約金はありますか?
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弁護士との契約はいつでも解約することができます。解約する際に解約料や違約金のお支払いはありません。ただし、最低着手金20万円はお返ししていません。