障害福祉

障害者グループホームとは? 知っておきたい基礎知識【2024年改正対応】

前園 進也

障害者の親亡き後の住まいは?

厚生労働省が行なった「平成28年生活のしづらさなどに関する調査 (全国在宅障害児・者等実態調査)」19ページによると、65歳未満の療育手帳を所持している人の約81%が、親などと同居しています。しかし、その同居している親が亡くなった後の住まいはどうなるのでしょうか?

現在、知的障害者の住まいとしては、次の3つが考えられます。

  1. 障害者支援施設
  2. 障害者グループホーム
  3. 一人暮らし

ここでは、知的障害者の住まいの選択肢の一つである「障害者グループホーム」について紹介します。

共同生活援助とは?

障害者グループホームに住むということは、障害者総合支援法における障害福祉サービスの一つである「共同生活援助」を受けて共同生活をすることを意味します。では、「共同生活援助」とは何でしょうか?

共同生活援助とは、障害者総合支援法では、次のように定めています。

この法律において「共同生活援助」とは、障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を行うことをいう。

現行障害者総合支援法5条17項

もっとも、2024年4月1日から、共同生活援助の定義が、次のように改正されます。

この法律において「共同生活援助」とは、障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において相談、入浴、排せつ若しくは食事の介護その他の日常生活上の援助を行い、又はこれに併せて、居宅における自立した日常生活への移行を希望する入居者につき、当該日常生活への移行及び移行後の定着に関する相談その他の主務省令で定める援助を行うことをいう。

改正障害者総合支援法5条17項

従来の定義に「居宅における自立した日常生活への移行を希望する入居者につき、当該日常生活への移行及び移行後の定着に関する相談その他」を加えたものになります。つまり、共同生活援助に、居宅での自立生活を希望する利用者に対して、移行や移行後の定着に関する相談も援助の内容として加わります。

共同生活援助は3タイプ+α

共同生活援助には、いくつか種類があります。基本的な3つのタイプは、次のとおりです。

  1. 介護サービス包括型
  2. 日中サービス支援型
  3. 外部サービス利用型

介護サービス包括型は、共同生活援助の基本型となります。

日中サービス支援型とは、常時介護が必要な障害者に対する常時の支援体制が確保されている共同生活援助のことです(指定障害福祉サービス基準213条の2)。常時の支援体制の確保とあるように、日中、夜間、深夜に職員の配置が義務付けられています。

外部サービス利用型とは、入浴、排泄、食事の介護その他の日常生活上の援助を、グループホームの職員が行わず、外部の居宅介護サービス事業者が行う共同生活援助のことです(指定障害福祉サービス基準213条の12)。

基本3類型の違いをまとめると、次のようになります。

介護サービス包括型日中サービス支援型外部サービス利用型
介護の提供ありありなし
(外部サービスを利用)
日中の支援なし
(行なった場合は加算)
ありなし
夜間深夜の支援なし
(行なった場合は加算)
ありなし
共同生活援助3タイプの違い

そのほかにも、次のようなタイプもありますが、ここでは説明を割愛します。

利用することができる人

誰が共同生活援助を利用できるでしょうか?

障害の種類と程度

共同生活援助は、障害者総合支援法という法律に基づくサービスなので、次のような障害がある人が対象となります。

  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者(発達障害者を含む)
  • 難病患者

障害者総合支援法の障害福祉サービスの中には、障害の程度(障害支援区分)によっては受けられないものがあります。しかし、共同生活援助は、障害の程度(障害支援区分)に関わらず、利用することができます。

ただし、共同生活援助の利用を希望する場合は、原則として、障害支援区分の認定が必要です(介護給付費等に係る支給決定事務等について (事務処理要領)49ページ以下)。

年齢

障害者総合支援法の障害福祉サービスは、18歳以上の障害者を対象としています(障害者総合支援法4条1項)。したがって、原則として、障害者グループホームを利用するには、18歳からとなります。

ただし、例外的に、15歳以上の児童で、児童相談所長が利用が適当と認めた場合には、共同生活援助を利用することができます(児童福祉法附則63条の2・同法63条の3)

65歳の壁

障害者グループホームは、障害者にとって「終の住処」になるのでしょうか? いわゆる「65歳の壁」の問題です。

65歳以上の障害者は、介護保険の介護給付を受けることができます。介護保険と障害者総合支援法の障害福祉サービスに同一内容のサービスがある場合には、介護保険の適用が優先されます(障害者総合支援法7条)。介護保険サービスになると、サービス量が減る、利用者の自己負担額が増えるなどの問題があるため、65歳になっても、介護保険ではなく、障害福祉サービスを継続利用したいという障害者のニーズがあります。しかし、地方自治体によっては、一律に介護保険を優先して、問題となっています。これが「65歳の壁」問題です。

国の基本的な考え方は、次のとおりです。

サービス内容や機能から、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、基本的には、この介護保険サービスに係る保険給付を優先して受 けることとなる。

障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について4ページ

つまり、共同生活援助に相当する介護保険サービスがある場合には、介護保険サービスが優先されるということです。

では、共同生活援助に相当する介護保険サービスはあるでしょうか? 次の二つが考えられます。

  1. 介護老人福祉施設・介護老人保健施設などの施設サービス
  2. 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

これらの介護保険サービスを実際に受けられる場合には、障害者グループホームから移るということはあることになります。

では、現在、どれくらいの65歳の障害者が障害者グループホームで暮らしているでしょうか? 日本知的障害者福祉協会が行なった「令和2年度全国グループホーム実態調査報告」11ページによると、65歳以上の利用者は全体の14%とのことです。

障害者グループホームでの暮らし

一日の流れ

介護サービス包括型の障害者グループホームの利用者は、平日日中は外出するため、朝と夕方以降に、障害者グループホームの職員から介護などのサービスを受けます。

時間帯支援内容・活動内容
起床、朝食、身支度
日中利用者は生活介護や就労継続支援、デイケアなどの日中活動先へ
夕方・夜間夕食、入浴、自由時間
深夜GHの職員がいるかは事業所による
平日の流れ

土日祝日で、日中活動先が休みの場合、家族がいる自宅に戻る利用者もいます。他方、障害者グループホームに留まる場合に、障害者グループホームの職員による日中支援があるかは、事業者によります。

立地や設備

障害者グループホームは、住宅地や、住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、原則として、入所施設や病院の敷地の外という立地の条件があります(指定障害福祉サービス基準210条1項など)。

障害者グループホームの建物は、次の2つのタイプに分かれます。

  1. 戸建てタイプ
  2. アパート・マンションタイプ

アパート・マンションタイプは、アパート一棟丸ごとの場合もあれば、分譲マンションの一部の場合もあります。

障害者グループホームは、次の3つの設備が必要となります(指定障害福祉サービス基準210条6項同条8項)。

  1. 居室(原則個室)
  2. 居室に近接して設けられる相互に交流を図ることができる設備(居間や食堂など)
  3. 日常生活を営む上で必要な設備(トイレ、風呂など)

戸建てタイプの障害者グループホームは、これら1.から3.が一体となっているのが一般的です。他方、アパート・マンションタイプは、1.と3.が一体で、2.の交流スペースとして、別の一室があることが一般的です。

居室の広さは、収納設備等を除いて、7.43平方メートル以上となっています(指定障害福祉サービス基準210条8項)。不動産業界では、1畳1.62平方メートルということなので、居室は4畳半以上ということになります。

支援内容と支援者

共同生活援助は、障害者グループホームにおいて、以下の支援を受けることができます。

これらの支援は、以下の障害者グループホームの職員が提供します。

職員職務内容
管理者障害者グループホームの職員や業務の管理、職員に対する指揮監督(指定障害福祉サービス基準213条同66条
サービス管理責任者個別支援計画の作成、アセスメント、モニタリング、担当者会議の開催、日中活動先との連絡調整、他の職員への技術的指導・助言など(指定障害福祉サービス基準210条の6同213条同58条
世話人相談、調理・洗濯などの家事
生活支援員入浴、排泄、食事の介護など
障害者グループホームの職務

費用

共同生活援助にかかる費用として、代表例は、次のとおりです。

  1. 共同生活援助の利用者負担分
  2. 食材料費
  3. 家賃
  4. 水道光熱費
  5. 日用品費
  6. その他(例 インターネット利用料)

上記2.から6.までの費用を特定費用といいます(障害者総合支援法29条1項同施行規則25条4号)。

これらの特定費用については、家賃以外は地域によって大きな差がないと考えられます。家賃は地域格差が大きいため、障害年金の範囲内で収まる地域もあれば、収まらない地域もあります。

利用者負担分

共同生活援助を受ける利用者が、生活保護受給世帯や市町村税非課税世帯の場合は、利用者負担はありません(障害者総合支援法施行令17条1号)。それ以外の場合は、月額3万7200円となります(障害者総合支援法施行令17条4号)。

家賃補助

特定費用のうち、家賃については、家賃補助1万円が支給されます(障害者総合支援法34条1項同施行令21条1項2号平成23年厚生労働省令告示第354号)。ただし、利用者が、生活保護受給世帯や市町村税非課税世帯の場合に限ります(障害者総合支援法施行規則34条2号同施行令17条4号)。

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障害者グループホームは供給不足

障害者グループホームの基本的なことに紹介しました。

かつては、知的障害者の自立先といったら、障害者支援施設でした。しかし、国は障害者支援施設の縮小を進めています。そのため、自立先として障害者グループホームが最近注目されています。

しかし、望めば誰でもグループホームに入れるほど供給があるわけではありません。私の住む地域も、ただでさえグループホームが少ないのに、空きはほとんどない状況です。障害者支援施設同様に、狭き門である地域が多いのではないかと思います。

ですので、親御さんの中には、18歳になったらスムーズにグループホームに入れるように、共同生活援助と放課後等デイサービスを提供している多機能事業所と契約している方もいるようです。私の子どもが通っているところもそのような多機能事業所です。契約する前の見学の際に質問したところ、放デイの利用者だと、その事業所のグループホームに入りやすいと職員の方が言っていました。

この記事の著者
前園 進也
埼玉弁護士会・サニープレイス法律事務所所属 重度知的障害児の父親 障害者の親亡き後や障害福祉について、障害者の親&弁護士の視点から役立つ情報を発信しています。法律相談もできますので、お気軽にお問い合わせください。
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