これだけは知っておきたい!相続人と相続分〜親亡き後の備え〜
はじめに
収入の少ない障害のある子どもの将来の生活を考えると、親は経済的な不安を抱えます。人並みの生活に足りない収入の不足分は生活保護で補うことができます。ただし、多くの親は自身の生活を切り詰めても子供を支えます。しかし、親のサポートは有限です。親亡き後も子供が安心して暮らせるよう、財産を残す方法を検討することが重要です。
財産を残す方法の一つが「遺言」です。遺言を書く前提として、障害者の親は相続の基礎知識を理解しておく必要があります。理解していないと思わぬ失敗をすることがあります。
この記事では、相続の基礎の基礎である「相続人と相続分」について詳しく解説します。これらの知識をしっかりと理解することで、あなたの大切な財産を、あなたの意思どおりに、そしてお子さんの将来のために最大限活用することができます。
相続人とは何か?
相続人とは、ある個人が亡くなったときに、その個人が権利を有する財産を相続する権利がある人のことです。この亡くなった個人のことを被相続人といいます。
代表的な相続人の種類
相続人の代表例は、次のとおりです。
- 被相続人の配偶者
- 被相続人の子
- 被相続人の親、祖父母
- 被相続人の兄弟姉妹
相続人には順番があります。配偶者と子どもは、被相続人の死亡時にいたら相続人になります。被相続人の親は、被相続人の死亡時に子どもや孫がいないときに相続人になります。被相続人の祖父母は親がいないときに相続人になります。子、孫、親、祖父母がいないときに、兄弟姉妹が相続人になります。
この記事・動画は障害者の親向けなので、被相続人は障害者の親という前提で解説します。したがって、相続人の順位が一番上である子どもがいるため、被相続人の親以降についての解説は省略します。
子の相続権と代襲相続
子どもが二人以上いる場合、全員が相続人になります。子というのは、血のつながりのある実子だけではなく、養子も含まれます。
もし被相続人が死亡したときに、子が亡くなっていても、孫がいる場合は亡くなった子の代わりに孫が相続人になります。これを代襲相続といいます。
配偶者の相続権とその条件
被相続人が亡くなったときに配偶者がいれば、配偶者も相続人となります。配偶者とは、被相続人と婚姻届を提出し正式に結婚している人のことです。そのため、婚姻届を提出していない内縁や事実婚の場合は、相続人にはなりません。もちろん、離婚した元配偶者も相続人にはなれません。
なお、配偶者には子のように代襲相続はありません。そのため、被相続人と養子縁組をしていない配偶者の子が相続人になることはありません。
相続分とは?
相続人には相続分というものがあります。被相続人が遺言を残していない場合に、相続人がもつ相続権の割合です。
配偶者と子どもの相続分の具体例
相続人が一人の場合は相続分は100%です。相続人が配偶者と子どもの場合は、配偶者は50%です。子どもが一人であれば同じく50%です。子どもが複数いると、子ども一人の相続分は50%を子どもの人数で割った数となります。例えば、子どもが二人の場合は、25%ずつになります。
子どもだけが相続する場合の割合の決め方
相続人が子どもだけの場合は、100%を子どもの数で割った数となります。例えば、子どもが3人だと3分の1ずつとなります。
代襲相続人が相続する場合の割合の計算
代襲相続人がいる場合、代襲相続人が一人なら、亡くなった子の相続分と同じです。先に亡くなった子の子どもが二人以上いたら、先に亡くなった子の相続分をその子どもの人数で割った数となります。
相続人と相続分の理解が重要な理由
ここまで、障害のあるお子さんを持つ親御さんを念頭に、相続における「相続人」と「相続分」について解説してきました。相続人と相続分は、遺言だけではなく、遺産の分け方(遺産分割)や遺留分といった、相続に関する基礎的な知識です。これらを正しく理解しておくことは、お子さんの将来や残された家族を守るための備えとして欠かせません。ぜひ、今回解説した内容を参考に、必要な準備を進めていただければと思います。
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私自身、重度知的障害のある子どもの父親であり、障害のある子を育てる親としての視点も踏まえながら、あなたの想いを形にするお手伝いをいたします。