知的障害者の余暇とスマホ・タブレット利用時間をどう考えるか

1、2時間まとめて使わせない方法を続けてよいのか

特別支援学校の小学部に通う9歳のわが子には、最重度の知的障害と自閉症があります。家庭では、テレビやスマートフォン、iPadでYouTubeや写真を見たり、音楽を聴いたりして過ごしています。

放課後等デイサービスは、長期休暇中を含め、現在は平日の週3日利用しています。利用しない日は家庭で過ごす時間が長くなります。家庭で過ごす時間の多くを、こうしたテレビやスマートフォン、iPadを使って過ごすことには、親として抵抗があります。そこで、午前と午後にそれぞれ1、2時間ほど、デバイスを使わない時間を設けています。

ところが、この時間にする一人遊びがほとんどありません。以前は、プリントアウトした写真や食べ物の絵本・カード、お菓子の包装などを好んで見ていました。しかし、今ではこれらをほとんど見なくなり、一人遊びのバリエーションもめっきり減っています。デバイスを使えないからといって自然に別の遊びへ移るわけではなく、その時間を持て余します。

暇を持て余すと、いわゆる「悪さ」が増えます。親に構ってもらいたいのか、金切り声を執拗に出すことがあります。また、ダメだと言っているテーブルの上に登ることもあります。どちらも、叱るとやめるどころか、かえって繰り返す傾向があります。

そもそも、この制限時間は、何か明確な根拠があって決めたものではありません。なんとなく、長時間デバイスを使わせ続けるのはよくないだろうと考えて設けていたものです。そこで、今の制限の仕方が妥当なのか、ほかによりよい方法がないのかを改めて検討することにしました。

まとまった時間使わせないことから、短い休憩を挟むことへ

今回の検討の結論を先に述べます。わが家では、まとまった時間、デバイスを使わせないという制限の仕方をやめることにしました。

ただし、デバイスを無制限に使わせるわけではありません。45分使ったら15分休むことを一つの区切りとし、利用と休憩を短い間隔で繰り返す方法に変えてみることにしました。デバイスから離れる時間そのものは残しつつ、「何もすることがない時間」が長く続かないようにしました。

なぜこのような結論にしたのか。ここからは、子どものデバイス利用時間について現在どのように考えられているのかを確認したうえで、わが家の状況に当てはめて考えていきます。

知的障害者の余暇の特徴と新しい利用時間の考え方

知的障害のある子どもは余暇活動の選択肢が限られやすい

わが子は、以前に比べて一人遊びのバリエーションが大きく減っています。では、これはわが子だけにみられる事情なのでしょうか。それとも、知的障害や自閉症のある子どもにみられる傾向なのでしょうか。

この点を考えるうえで参考になるのが、知的障害児が長期休業中の余暇をどのように過ごしているのかを調べた研究です1。この研究では、知的障害のある小学生から高校生までの長期休業中の余暇の過ごし方を、保護者へのアンケートで調べています。その結果、長期休業中の余暇は、「テレビ・ビデオ」「外出」「ゲーム・PC」という少数の活動に集中していました。

定型発達児の多様な余暇と、テレビ・ビデオ、外出、ゲーム・PCに集中する知的障害児の余暇を対比した図

また、長期休業中の余暇の過ごし方について、多くの保護者が困っていると回答し、その理由として最も多かったのが「単調」でした。小学生では、「単調」を挙げた保護者が87.5%に上っています。

この調査結果を見る限り、余暇活動が少数の活動に偏ることは、少なくともわが子だけにみられる特殊な事情ではなさそうです。わが子の場合も、デバイス以外の一人遊びが限られています。しかし、では余暇の選択肢をどうやって増やせばよいのかというと、実際のところ、その方法が分かりません。少なくとも今は、デバイスを使わせなければ自然に別の遊びをするようになる、という状況ではありません。

「1日2時間」から「ほかの活動を押し出しているかどうか」へ

では、デバイスの利用時間そのものは、どのように考えればよいのでしょうか。日本小児科医会は、「子どもとメディア」に関する提言の中で、テレビ、ゲーム、インターネットなどを含む総メディア接触時間について、1日2時間以内を目安としています2。その根拠について、1日の生活時間から、睡眠や食事、園や学校で過ごす時間に加え、「友達とおしゃべりしたり遊んだりする時間」などを差し引くと、2時間程度が限度だと説明しています。

この「友達とおしゃべりしたり遊んだりする時間」を当然の前提としている点からも、最重度の知的障害や自閉症のある子どもを具体的に念頭に置いた基準ではないことが分かります。また、1日2時間以内と示されても、デバイスを使わせない時間に何をして過ごすのか、どのように制限すればよいのかという今回の課題への指針にはなりません。

そこで参考になるのが、米国小児科学会(AAP)が2026年に公表した、子どもとデジタルメディアに関する新しい方針声明です3。AAPは、子どものメディア利用について、利用時間の上限だけで捉えることはできないとしています。子ども自身の特性、保護者、デジタル環境、さらに社会的な仕組みまで含めて考える必要がある、という整理です。

もちろん、AAPも利用時間を無視してよいとしているわけではありません。重要なのは、利用時間という数字だけではなく、デジタルメディアの利用によって、睡眠や食事、家族と過ごす時間、外出など、生活上の大切な活動が押し出されていないかを見ることです。

タブレットに夢中になり食事や就寝が後回しになっている子どもと、困ったり怒ったりして声をかける両親を描いたイラスト

この考え方をわが子に当てはめてみます。食事中にはデバイスを使わせていません。消灯時間も決めており、デバイスを使うために寝る時間を遅らせているわけではありません。酷暑でなければ、近所のスーパーへの買い物程度でも外出しています。少なくとも現在は、デバイスを使うことで、食事、睡眠、家族と過ごす時間、外出といった生活上の大切な活動が押し出されているわけではありません。

そうであれば、まとまった時間デバイスを使わせないことで利用時間そのものを減らすことよりも、デバイスから定期的に離れる時間を確保しつつ、暇を持て余す時間を長くしない方法の方が、わが子には合っていると考えました。そこで、まとまった制限時間をやめ、45分使ったら15分休むという短い休憩を繰り返す方法に変えてみることにしました。

毎時間の声かけという新たな負担

今回、わが家では、午前と午後にまとまった時間デバイスを使わせない方法をやめ、45分使ったら15分休むという方法に変えてみることにしました。知的障害のある子どもでは余暇活動が少数の活動に偏りやすく、わが子もデバイス以外の一人遊びが限られています。また、デバイスの利用時間だけを見るのではなく、睡眠や食事、外出など、ほかの必要な活動を押し出していないかを見るという考え方も、今回の判断の参考になりました。

ただ、この方法には新しい問題があります。45分使ったら休み、15分休んだら再び使ってよいことを、毎時間わが子に知らせなければなりません。わが子はまだ時計を理解していませんし、仮に時刻を理解できるようになったとしても、自分から時間を確認してデバイスを置いたり、再開したりすることは難しいと思います。

これまでのように午前と午後にまとまった制限時間を設けるだけなら、親が声をかける回数は多くありませんでした。しかし、45分利用・15分休憩を繰り返すとなると、毎時間「休憩」「使ってよい」と声をかける必要があり、親の負担はむしろ増えます。

この新たな課題をどのように解決するかについて、検討した内容やその結果は別の記事で書きたいと思います。

  1. 細谷一博「長期休業中における知的障害児の余暇実態と保護者ニーズに関する調査研究↩︎
  2. 社団法人 日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会「子どもとメディア」の問題に対する提言 ↩︎
  3. American Academy of Pediatrics, “Digital Ecosystems, Children, and Adolescents: Policy Statement↩︎

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