障害のある我が子が18歳になるまでにしておきたいこと:親として知っておくべき準備
はじめに
「障害のある我が子が18歳になったらどうなるんだろう?」
そう思って不安を感じている親御さんは多いのではないでしょうか。
お子さんが成人し、親が親権を失っても不都合が生じないためにも事前に準備しておくべきことがあります。
この記事では、障害のあるお子さんが18歳になるまでに、親がしておくべき3つの準備について、解説します。
重度の知的障害のあるお子さんを育てている弁護士の私が、自身の経験も踏まえて、わかりやすく説明します。
子ども名義の預貯金口座を開設しよう
まず、子ども名義の預貯金口座の開設は必須です。
障害のあるお子さんが未成年の間は、親が法定代理人として、お子さんの名義で口座を開設できます。しかし、18歳で成人すると、親が単独で口座開設することはできなくなります。
親がお子さんの代わりに口座開設を行うためには、お子さん本人のサインと印鑑が必要となります。
障害が重度でサインが難しい場合、委任状の作成も困難となり、口座開設自体が不可能になるケースも考えられます。
子ども名義の預貯金口座があれば、
- 障害基礎年金の受取りをスムーズに行うことができます。(障害基礎年金は現金での受け取りも可能ですが、銀行振込の方が便利です。)
- 現金の管理に比べて、紛失や盗難のリスクを軽減できます。
マイナンバーカードの発行は慎重に考えよう
マイナンバーカードは、顔写真付きの公的証明書として、本人確認などに使用されます。
しかし、障害者の方にはすでに障害者手帳があり、本人確認の手段としては十分です。
マイナンバーカードには更新手続きが必要で、成人後はお子様本人が手続きを行う必要があります。
さらに、マイナンバーカードの運用は現在過渡期であり、混乱も見られます。
これらの理由から、お子さんが未成年のうちにマイナンバーカードを取得するメリットは大きくありません。ですので、未成年のうちにマイナンバーカードを作ってもいいし、作らなくてもいいです。
子どもの実印の印鑑登録
最後に、実印の印鑑登録についてです。実印が使われる主な場面は、次のとおりです。
- 家などの購入
- 普通車を一括払いで購入
- 遺産相続
- 死亡保険金の受け取り
自分で実印の印鑑登録ができない障害者が、家や車を購入することはまずないでしょう。しかし、障害者が遺産相続することは、それなりにあります。
遺産相続で実印が必要になることが多いです。例えば、次のような場面です。
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金口座の解約・払い戻し
- 不動産の名義変更
ただし、障害者の実印を不要にする方法があります。それは親が遺言執行者を指定した遺言書を書くことです。
また、死亡保険金の受取人が障害のある子どもであると、その受け取りに実印が必要となります。ただし、普通の生命保険ではなく、生命保険信託や障害者扶養共済であれば、実印を不要とすることができます。
このように、未成年のうちに実印の印鑑登録をするよりも、大事なことがあります。それは実印が必要とならないように、準備をしておくことです。
まとめ
今までの話をまとめます。
障害のあるお子さんが未成年のうちにしておいた方がいいのは、子ども名義の預貯金口座の開設とキャッシュカードの発行です。
マイナンバーカードと実印の印鑑登録は、将来必要になる可能性も考慮して、状況に応じて検討しましょう。