障害福祉

納得できない! 障害福祉サービスの契約解除から家族を守る方法

障害福祉サービスの契約解除の文字を見て、頭を抱えて悩む女性。「どこに相談すればいいの?」
前園 進也
前園 進也
前園 進也
弁護士
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重度知的障害児の父親
埼玉弁護士会・サニープレイス法律事務所所属

障害者の親亡き後や障害福祉について、障害者の親&弁護士の視点から役立つ情報を発信しています。法律相談もできますので、お気軽にお問い合わせください。
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障害福祉サービスで「契約解除」を言われたら…

「利用を続けたいのに…」「納得できない…」

障害のある家族が、障害福祉サービスの利用を突然断られる。
そんな理不尽な現実が、今も後を絶ちません。

障害者グループホームからの追い出しだけでなく、生活介護や就労継続支援など障害福祉サービスで「契約解除」の問題は起こります。

この記事では、障害福祉サービスの契約解除に直面したご家族のために、知っておくべき情報や対処法を分かりやすく解説します。

なぜ? 契約解除を求められる理由とは?

障害福祉サービスは、利用者と事業者間の契約に基づいて提供されます。
契約解除は、この契約を終わらせる行為であり、事業者の一方的な都合で簡単に行えるものではありません。

契約書には、解除事由(どんな時に契約を解除できるか)が明記されています。
よくある解除事由としては、

  1. グループホームの利用料の滞納: 3ヶ月以上の滞納は、契約解除の根拠となることが多いです。
  2. 告知義務違反: 契約時に健康状態や障害の程度について虚偽の申告をした場合、信頼関係が損なわれたとして解除されることがあります。
  3. 3か月以上の入院: 長期入院によりサービス提供が困難になった場合に解除されることがあります。
  4. やむを得ない事情: 他の利用者への迷惑行為、施設運営が困難になるほどのトラブルなどが該当します。

ただし、「やむを得ない事情」は解釈が難しく、事業者側の都合を押し付けられるケースも少なくありません。

重要なのは、「事業者側の言い分が全て正しいわけではない」ということです。もし、納得できない理由で解除を迫られた場合は、泣き寝入りする必要はありません。

どこに相談すればいい? 頼れる味方を知っておこう!

契約解除を言い渡されると、動揺してしまい冷静な判断が難しくなるものです。
まずは、一人で抱え込まず、信頼できる相談先を見つけましょう。

  1. 障害福祉課: 公平中立な立場でのアドバイスが期待できます。契約トラブルへの直接的な介入は難しい場合もありますが、まずは相談してみましょう。
  2. 相談支援専門員: サービス利用計画の作成や事業者との連絡調整を行ってくれる、心強い味方です。事業者との関係性によっては、間に入って交渉してくれることもあります。
  3. 運営適正化委員会: 都道府県に設置されている、福祉サービスに関する苦情相談窓口です。助言やあっせんを行ってくれます。解決の強制力はありませんが、第三者機関への相談は、事業者側に対応を改めさせるきっかけになる可能性があります。
  4. 弁護士: 契約トラブルの専門家です。法的な観点から、状況に応じた最適なアドバイスやサポートを提供してくれます。交渉や調停、訴訟などの法的手続きが必要となる場合でも、頼りになる存在です。

交渉は専門家に! 弁護士に依頼するメリットとは?

「弁護士に相談するのは、大げさなのでは…」

そう思われるかもしれません。しかし、早期に弁護士に相談することで、

  1. 法的根拠に基づいた主張: 感情論ではなく、法律に基づいた交渉によって、より有利な解決を目指せます。
  2. 精神的な負担軽減: 交渉を専門家に任せることで、ご家族の精神的な負担を軽減できます。
  3. 冷静な状況判断: 第三者である弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静な話し合いを進めやすくなります。
  4. 契約解除の回避: 弁護士による交渉を通して、状況によっては、事業者側が契約解除を断念するケースもあります。

などのメリットがあります。

弁護士への相談はハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。しかし、早期に相談することで、より多くの選択肢と解決の可能性が広がります。

大切なポイント! 「すぐに出て行け」は通用しません!

グループホームやショートステイ、障害者支援施設などの居住スペースを提供するタイプのサービスの場合、事業者の一方的な都合で、利用者を強制的に退去させることは法律で禁じられています。

たとえ契約解除の申し出があったとしても、利用者側に非がない、あるいは納得できない理由である場合は、簡単には応じるべきではありません。

「すぐに出ていってほしい」「自宅待機してほしい」と言われて、慌てて自宅に戻ってしまうと、不利な状況になる可能性もあります。
一度出ていってしまうと戻ることは難しく、利用者だけでなく、ご家族にとっても大きな負担となるからです。

諦めないで! 大切な家族の権利を守るために

障害福祉サービスの契約解除は、利用者やその家族にとって、大きな不安と負担を強いるものです。

しかし、正しい知識と専門家のサポートがあれば、解決への道は必ず開けます。

一人で抱え込まず、まずは相談してみることから始めましょう。

また、契約解除を迫られている状況では、相手であるグループホームのことをより深く理解することが、解決の糸口になるかもしれません。グループホームの仕組みやルール、事業者側の義務などを知ることで、交渉を有利に進められる可能性があります。

障害福祉サービスの利用を断られて困っていませんか?

弁護士 前園進也
弁護士 前園進也

障害福祉サービスの利用を突然断られ、不安な気持ちを抱えている方は、一人で悩まず、まずは私にご相談ください。弁護士による交渉で、サービスの利用継続を目指せる可能性があります。

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