知的障害のある子どもとの外出とトイレ介助

男性トイレの個室問題

家庭と外出先の違い

外出中、子どもがトイレを訴える。急いで男性用トイレに向かうが、個室は狭くて介助者と二人では入りにくい——そんな場面を経験したことがある方に、読んでいただきたい記事です。

家庭内では何とか対応できていることでも、外出先では急に難しくなる。その代表がトイレです。

わが家では、外出先でトイレを利用する際、男児であることから、基本的には私が付き添っています。立ったまま排尿することができないため、洋式便器のある個室を利用する必要があります。利用するのは、男性用トイレの個室、あるいは障害者用の多目的トイレであることがほとんどです。

家でトイレ介助をする際は、個室のドアを開けたまま外に立ち、お尻を拭くときだけ中に入って対応することがあります。しかし外出先の男性用トイレでは、ドアを開けたまま外に立つことはできません。結局、狭い個室に二人で入るしかなく、身動きの取りにくい中で介助することになります。

自宅トイレで個室の外に立ち、子どもにティッシュを手渡す父親

この点は、知的障害のある子どもとの外出を日常的に経験していない方には、なかなか伝わりにくいかもしれません。男の子であれば男子トイレに連れて行けばよい、という単純な話ではありません。そもそも個室の利用が前提となりますし、さらに介助者が一緒に入る必要もあるからです。具体的には、成人男性二人が入り、排泄後のケア(お尻を拭く動作)ができる広さが最低限必要です。

狭い個室での介助の実態

大型スーパーなどの比較的新しい施設では、個室が広めに設計されていることが多く、介助のために一緒に入ることも、それほど大きな負担にはなりません。このようなトイレに出会うと、非常に助かります。

一方、従来型の狭い個室では事情がまったく異なります。介助者が一緒に入ること自体が難しく、身体の向きを変えるだけでも苦労します。

男性トイレの個室がドタバタと揺れているのを怪訝な顔で見る男性たち

知的障害のある子どものトイレ介助は、単に隣で見守れば足りるとは限りません。声かけが必要なこともありますし、動作の補助が必要になることもあります。そのような場面で個室が狭いと、介助の難易度が大きく上がります。

そのため、ある程度の広さがある個室を設けてほしいという要望は強くあります。これは、単に快適であることを求めているのではありません。介助を前提にすると、物理的に必要な広さがあるということです。

広い個室と目的外使用のジレンマ

もっと広い個室が必要だと感じる一方で、単純に「広くしてほしい」とだけ言えない事情もあります。

近年は、個室トイレが本来の用途以外に使用されることがあると指摘されています。食事をしたり、スマートフォンを操作したり、休息をとったりするために利用する例があるようです。トイレを快適で広めに整備すると、そのような目的外使用が増え、本当に排泄のために利用したい人が使えなくなってしまうというジレンマがあります。

つまり、広い個室を増やせばすべてが解決するわけではありません。必要とする人にとっては大きな助けになる一方で、別の使われ方が増え、本来の利用者が使えなくなるおそれもあります。この問題の解決は施設の設計・運用側に委ねられますが、介助を必要とする側からも、無視できない問題として認識しています。

男性トイレに広い個室が必要な理由

多目的トイレがあるから十分ではないか、という考え方では対応できません。多目的トイレは数が限られていますし、利用したい方が重なることもあります。また、知的障害のある子どもの介助のために利用したいと思っていても、「本当に使ってよいのだろうか」と気を遣う場面は少なくありません。知的障害は外見から分かりにくいため、多目的トイレの利用をためらう場面が少なくありません。

多目的トイレの前で、使用後に睨まれる場面を想像して躊躇する父親

一般の男性用トイレの中に、介助者と一緒に入ることができる程度の広さを備えた個室が複数あれば、こうした問題はかなり和らぐはずです。多目的トイレだけに負担を集中させるのではなく、一般のトイレの側でも少しずつ対応していく発想が必要ではないかと思います。

これは、車椅子利用者のための設備を軽視する趣旨ではありません。知的障害などにより介助を必要とする人の現実も、同じように考慮してほしいということです。

トイレ環境と外出のしやすさ

知的障害のある子どもとの外出において、トイレは単なる設備ではありません。外出のしやすさそのものを左右する要素です。

立ったまま排尿することができず、個室の利用が必要であり、しかも介助者も一緒に入らなければならない。そのような条件が重なると、従来型の狭い個室では十分に対応できません。他方で、広く快適な個室を増やせば、目的外使用という別の問題も生じます。現実は単純ではありません。

それでもなお、介助を必要とする人が安心して利用できるトイレ環境は必要です。特に男性用トイレにも、介助を前提とした広めの個室を増やしてほしいというのが、実際に子どもに付き添って外出する立場からの率直な思いです。知的障害のある人の外出のしやすさは、こうした設備の積み重ねに大きく左右されます。トイレの問題は一見すると小さなことのように見えるかもしれませんが、本人や家族の行動範囲、そして生活の質に直結する、現実的で重要な課題だと考えています。

この記事ではわが家の例をもとに書きましたが、障害者と介助者の性別の組み合わせによって、直面する困りごとや要望は異なるはずです。外出先のトイレで感じたことがあれば、ぜひコメントで教えてください。

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