成年後見

成年後見人などの報酬 【現役の成年後見人・監督人がすべて教えます】

豚の貯金箱
前園 進也
前園 進也
前園 進也
弁護士
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重度知的障害児の父親
埼玉弁護士会・サニープレイス法律事務所所属

障害者の親亡き後や障害福祉について、障害者の親&弁護士の視点から役立つ情報を発信しています。法律相談もできますので、お気軽にお問い合わせください。
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成年後見人の報酬について、現役の成年後見人・保佐人・保佐監督人である私が、できるだけわかりやすく解説します。

法定後見と任意後見では、報酬額の決め方が違います

成年後見人などの種類

成年後見制度では、(主に経済的な)判断能力に問題のある方をサポートする人として、5つのタイプに分けられます。

  1. 成年後見人
  2. 保佐人
  3. 補助人
  4. 任意後見人
  5. 監督人

これらの5つのタイプについては、原則として、報酬が発生します。報酬が発生しない例外的な場合とは、次の2つがあります。

  1. 成年後見人などが親族で報酬を請求しない場合
  2. 任意後見人が親族で報酬をゼロと取り決めた場合

成年後見人、保佐人、補助人の報酬の基準

判断能力に問題のあるご本人をサポートする人の中で、成年後見人が最も多く選任されて(2020年時点で約17万人)、次が保佐人(約4万人)で、3番目が補助人(約1万人)です。なお、任意後見人(約3000人)は、補助人よりもさらに少ないです(「成年後見関係事件の概況」p12)。

成年後見人、保佐人、補助人の報酬は、家庭裁判所が決めます。そして、成年後見人などの報酬は、基本報酬と付加報酬に分けられます。基本報酬とは、成年後見人などが通常行う職務に対する対価で、成年後見人などが請求すれば必ず発生します。

他方、付加報酬とは、成年後見人などの通常行う職務が特別に困難であった場合や、通常行う職務ではない特別な行為をした場合に支払われる報酬です。

基本報酬と付加報酬について、家庭裁判所が具体的な基準を公表しているので、その内容を紹介します(成年後見人等の報酬のめやす)。

基本報酬(必ず発生する報酬)

成年後見人(保佐人、補助人)の基本報酬は、現金、預貯金、有価証券(株式、投資信託、国債など)の流動資産(簡単に現金化できる資産)の合計金額によって、次の表のように3段階に分かれます。

流動資産月額年額
1000万以下2万円24万円
1000万超から5000万以下3〜4万円36〜48万円
5000万超5〜6万円60〜72万円
成年後見人(保佐人、補助人)の報酬の目安

付加報酬(プラスアルファの報酬)

家庭裁判所は、付加報酬については、基本報酬のような明確な目安は公表していません。わかっている範囲ですが、次の表のとおりです。

金額の目安
身上監護などが特別に困難な場合基本報酬の50%の範囲内
特別なことをした場合ご本人が手に入れた経済的利益の数%から15%の範囲内
付加報酬額の目安

以上が、成年後見人、保佐人、補助人の報酬の目安(相場)となります。

任意後見人の報酬は自由に決定

任意後見人の報酬は、ご本人と任意後見人との間で自由に決めることができます。ですので、任意後見人が親族の場合には無報酬(報酬ゼロ)とすることもできます。ただし、任意後見人が弁護士などの専門職の場合は、無報酬ということは、まずありません。

報酬を支払う場合の具体的な金額は、成年後見人などの基本報酬と同程度かやや高くなるのが一般的だと思います。なぜなら、任意後見人と成年後見人の職務内容は多くの場合ほとんど同じであり、職務内容が同じであればその対価である報酬も同じぐらいになるのが自然だからです。

監督人の報酬の基準

監督人とは、成年後見人、保佐人、補助人、任意後見人を監督する人のことで、成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人、任意後見監督人といいます。

任意後見監督人は必ず選任されます。が、その他の監督人は、ご本人の財産が多く、かつ、成年後見人、保佐人、補助人が親族などの場合に、弁護士などの専門職の監督が必要と判断されると選任されます。

監督人の報酬については、成年後見人などと同じように、家庭裁判所がその目安を公表しています。その目安は次のとおりです。

流動資産月額年額
5000万以下1〜2万円12〜24万円
5000万超2.5〜3万円20〜36万円
成年後見監督人などの報酬の目安

報酬を市町村が肩代わり

成年後見人、保佐人、補助人、監督人の報酬が高くて、利用したくてもできない。成年後見人などに報酬を払うのがもったいない。このように思っていませんか? そのような方には、成年後見人などの報酬を市町村が肩代わりしてくれる制度、つまり、成年後見人などの報酬の助成制度があるのをご存知ですか? この報酬助成制度については、「成年後見制度を無料で利用できる制度」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

まとめ

以上のように、成年後見人、保佐人、補助人、監督人の報酬は、家庭裁判所が目安を公表しているので、その目安によっておおよその金額がわかります。他方、任意後見人の報酬は、ご本人と任意後見人(任意後見受任者)との取り決めによりますので、原則として自由です。

成年後見制度の利用を検討している方や、利用を迷っている方にとって参考になれば幸いです。

成年後見制度の詳細は「成年後見制度ガイド:我が子の未来を守るために【知的障害・精神障害のある子の親御さんへ】」をご覧ください。

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